本/雑誌/TV/映画

おそめ

おそめ 石井妙子

 

『夜の蝶』のモデルにもなったといわれる、伝説の銀座マダム、「おそめ」のめくるめく半生を描いた、一冊。

作品の冒頭で、書き手が、晩年のおそめさんに出会うシーンが好きだ。初めて、その人に会った瞬間を描く筆致は、すこぶる鮮やかで、読む者の心をとらえて離さない。

その柔らかなきもの姿、そして、その透明な佇まい。

美しく、臈たけた、その老女の姿は、きもの好きの心を大いにくすぐる。

一度でいいから、私もお目にかかってみたかった。

『おそめ-伝説の銀座マダム-』
石井妙子
新潮文庫
2009年3月

2014-09-05 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,

 

パリジェンヌの着物はじめ

パリジェンヌの着物はじめ

 

私たちが持っている、「着物はこう着るべき」という拭っても拭っても拭いきれない、既成概念。それは、まるで重たい霧のよう。

パリジェンヌらしいお洒落心と、フランス人らしいロジック、それから日本人よりも日本人らしい感性で、その重たい霧を、ばっさばっさと払っていく様は、爽快至極です。

何気なく読み返してみて感じたこと。それは、着物を買う場所の重要性でした。

本書では、マニグリエ真矢さん御用達、なか志まやさんが、主に紹介されています。

きものに限らず、自分の感性にあったお店と出会えることは、とても幸福なことなのかもしれません。

 

パリジェンヌの着物はじめ
マニグリエ真矢
2005年5月
ダイヤモンド社

2014-08-19 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,,

 

小さいおうち

小さいおうち

 

映画としてもとても面白いですが、松たか子さん演じる、平井時子のきもの姿が魅力的で、夢中になりました。昭和初期、太平洋戦争に突入していくまでの、時代を描いたこの作品。時代と共に変化していかざるを得ない装いも面白いけれど、昭和のお洒落な奥様の、心情とともにうつろう「きもの」の虜になること間違いなしです。

「小さいおうち」
監督・脚本:山田洋次
原作:中島京子
出演:松たか子、黒木華(第64回ベルリン国際映画祭 最優秀女優賞受賞)、吉岡秀隆、妻夫木聡、片岡孝太郎、倍賞千恵子、中嶋朋子、他
製作年:2014年
配給:松竹

2014-08-15 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,

 

『インドの更紗手帖: 世界で愛される美しいテキスタイルデザイン』

インドの更紗手帖: 世界で愛される美しいテキスタイルデザイン

 

更紗って何? と聞かれれば、「むかーしむかし、インドで生み出された、とてつもなく愛らしい模様を、大切な赤い色で染めた華やかな木綿の布」といったところなのですが、インドから世界各地へ伝わって変化したその多様さを考えると、ため息が出るくらい奥の深い染織です。古今東西、多くの人々を魅了してきたこの魔法のテキスタイル、〈更紗のいま〉をわかりやすく教えてくれる『インドの更紗手帖』が本日発売されました。

出版社の紹介文に、「現代に伝わるインドの木版更紗を中心に、テキスタイル図案からそれらを使った服飾小物、さらにインドの手仕事の風景まで、更紗の世界を余すことなく取材」とあるように、私の尊敬する工芸ライター 田中敦子さんの筆が、今もインドに息づく更紗布の魅力を余すところなく伝えています。そして、写真家・渞忠之さんの、インドのディープでゆったりとした風を感じさせるような写真が、更紗の魅力を存分に引き出しています。(非常に微力ながら、撮影のごくごく一部をお手伝いいたしました)。

現在でも、インドでは「ブロックプリント」というハンコのようなもので、模様を型押しして染める更紗布がたくさん作られており、洋服や小物、ストールといった形でも手に入れることができます。女性なら誰しも目にし、惹かれたことがあるはず。布好き、きもの好き、染織好きだけでなく、デザインや可愛いもの好きの皆様にも、ぜひ手に取って頂きたい一冊です。  

インドの更紗手帖: 世界で愛される美しいテキスタイルデザイン
田中敦子著
誠文堂新光社
2014/8/8

2014-08-08 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,,

 

『別冊太陽 染色の挑戦 芹沢銈介』

別冊太陽 染色の挑戦 芹沢銈介

芹沢を知るに、素晴らしい一冊。

別冊太陽 染色の挑戦 芹沢銈介
平凡社
2011/7/1

2014-07-29 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,

 

『染織の美』シリーズ

染織の美 京都書院

 

京都書院から、昭和50年代に発刊された、『染織の美』シリーズ。

染織を勉強するにあたって、未だにこのシリーズが一番、という先達のお声をよく耳にしますので、早めに手に入れたいと思っておりました。コンプリートしていませんが、在庫が大幅に増。

吉岡幸雄氏編の、全30巻に渡る本シリーズでは、更紗、絞り、紅型、明治・大正の染織などの重要なテーマが、巻頭で特集。図版、テキスト共に充実しており、各テーマを考えるにあたり、重要な資料となっています。

これからも、何らかのテーマを手に入れたとき、繰り返し繰り返し、手に取っていくことになるでしょう。

染織の世界の、奥へ奥へと足を踏み入れて行くために、素晴らしい指南書だと改めて、感じました。

2014-07-07 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,

 

『KATAZOME/型染』 津田千枝子

型染KATAZOME・津田千枝子

 

帯やバッグ、ストールなどを手がける、染色作家の津田千枝子さん。

日本画と紅型の技法をベースに、ざっくりとした素材を活かして染められた、女性らしく柔らかな色合い。それに、可愛らしいのに、どこか大胆で、秘めた強さを感じさせる、多様なモチーフ。

津田さんの魅力が一冊に収められた、見ていて飽きない、図録です。
見ている内に、あの柄も可愛い、これも素敵、なんて、いくつも欲しくなってしまいます。

きものとして身につけてみたい、という方は、年一回、青山八木で行われる、帯の展覧会をぜひご覧下さい。


KATAZOME/型染

津田千枝子
2014

2014-06-09 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,,

 

『芸者論』

芸者論 岩下尚文
東をどりを観て、芸者さんに興味を持ったなら、ぜひ読んで頂きたいのが、岩下尚史著 『芸者論』。
今や、特徴的なキャラクターでブレイクし、「ハコちゃん」の愛称で親しまれる、岩下氏ですが、実はれっきとした文筆家。

長きに渡って、新橋演舞場や東をどりの運営に携わり、花柳界の調査研究に務めた、著者ならではの芸者論となっており、上品な装丁と共に、大好きな一冊です。

 

芸者論
岩下尚史
雄山閣
2006年

2014-05-29 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,

 

『更紗』 吉岡幸雄

東慶寺で行われた、吉岡幸雄先生の講演会にお伺いしました。

会場は、吉岡ファンで一杯!コレクションの更紗も、圧巻でした。

更紗展 吉岡コレクション

この度、紫紅社から新しく発売された、更紗の本。オススメです。

更紗 吉岡幸雄

更紗
吉岡幸雄 著
紫紅社
2014年

2014-04-26 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,,

 

物の命を美に転じる

詩人・大岡信の美術評は、飛び抜けていると思う。

柚木紗弥郎の作品集の序文で、大岡信のことばに出会って以来、その美しいフレーズのひとつひとつが、頭から離れない。

どちらかというと、詩歌などの韻文の類いは苦手で、できるだけ避けて通ってきた口だが、現代日本を代表する詩人が紡ぐ、作り手たちの物語に、今はすっかり魅了されている。

大岡信のテキストの中に、「物の命を美に転じる」というエッセイ集がある。

志村ふくみや、芹沢銈介について語られた、その中に、「宗廣力三の人と染織」という項を見つけた。

冒頭は、こうだ。

「透明度があって堅牢であること。
柔らかくて腰が強いこと。
渋くて深みがあること。
暖かみがあること。」

この、 宗廣力三の織りなす、織物の特徴が、すなわち、その人そのものだ、と言う。
その人が生み出す織物が、その人自身を創り、そして、その創られた人が、また織物を織る。
ものを創ることの醍醐味が、そこにはある、と。

私が言葉の限りを尽くしても、テキストの素晴らしさに、叶うはずもない。いつか、少しは彼の言わんとしていることを、掴める日が来るだろうか。

藍で丸紋の絣に染められた、宗廣力三作品の額装の、「みずみずしい色気」を含んだ青の記憶を、大岡信のことばと共に、深く深く刻み込んでおこうと思う。

人生の黄金時間

人生の黄金時間」より
大岡 信 著
角川文庫
2001年

2014-04-07 | Posted in BLOG, 本/雑誌/TV/映画 | Tagged as ,,

 

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