2014-04
『更紗』 吉岡幸雄
東慶寺で行われた、吉岡幸雄先生の講演会にお伺いしました。
会場は、吉岡ファンで一杯!コレクションの更紗も、圧巻でした。
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この度、紫紅社から新しく発売された、更紗の本。オススメです。
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『更紗』
吉岡幸雄 著
紫紅社
2014年
妹の婚礼
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週末は、妹の結婚式でした。
彼女が思い描いていた通りに、通学してた中学・高校の近くの会場で、挙式をしました。
幸せいっぱいの妹の晴れ姿に、胸を打たれる瞬間が度々。
形というのは、とても大切なのだな、と実感いたしました。
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当日の朝は、母と義弟の母、それから妹の友人と、自分も黒留袖に着替えて、大忙しでした。
やはり、黒留袖は、いいものだなぁ、と思います。
三越のショッピングバッグが、リニューアル
すでにご存知の方も多いと思いますが、三越のショッピングバッグがリニューアル!
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デザインは、友禅作家・森口 邦彦 氏。
父の森口華弘 氏と、2代に渡る、重要無形文化財(人間国宝)であり、パリでグラフィックデザインを学んだ後、友禅の道に入る、という経歴をお持ちの、著名な友禅作家です。
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着物のためにデザインされた、大胆な幾何学文様を、ショッピングバッグ用に、本人によりアレンジ。
4面全てが、すこしずつ違った表情を見せるよう、計算されているというから、驚きです。
三越の店頭で手に入る、ショッピングバッグのリーフレットは、「江戸モードの誕生」の著者・丸山伸彦氏のテキストや、旧友であるという、アーティストのフィリップ・ワイズベッカーとの対談も、美しい写真と共に寄稿されており、読み応えのある作りになっていますので、お見逃しなく。
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伝統と革新。
百貨店新時代への、強いメッセージを感じました。
物の命を美に転じる
詩人・大岡信の美術評は、飛び抜けていると思う。
柚木紗弥郎の作品集の序文で、大岡信のことばに出会って以来、その美しいフレーズのひとつひとつが、頭から離れない。
どちらかというと、詩歌などの韻文の類いは苦手で、できるだけ避けて通ってきた口だが、現代日本を代表する詩人が紡ぐ、作り手たちの物語に、今はすっかり魅了されている。
大岡信のテキストの中に、「物の命を美に転じる」というエッセイ集がある。
志村ふくみや、芹沢銈介について語られた、その中に、「宗廣力三の人と染織」という項を見つけた。
冒頭は、こうだ。
「透明度があって堅牢であること。
柔らかくて腰が強いこと。
渋くて深みがあること。
暖かみがあること。」
この、 宗廣力三の織りなす、織物の特徴が、すなわち、その人そのものだ、と言う。
その人が生み出す織物が、その人自身を創り、そして、その創られた人が、また織物を織る。
ものを創ることの醍醐味が、そこにはある、と。
私が言葉の限りを尽くしても、テキストの素晴らしさに、叶うはずもない。いつか、少しは彼の言わんとしていることを、掴める日が来るだろうか。
藍で丸紋の絣に染められた、宗廣力三作品の額装の、「みずみずしい色気」を含んだ青の記憶を、大岡信のことばと共に、深く深く刻み込んでおこうと思う。
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「人生の黄金時間」より
大岡 信 著
角川文庫
2001年
森田空美の「きものの時間」
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森田空美の「きものの時間」
小学館
2011年11月
森田空美 著
東慶寺 吉岡コレクション 更紗展
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私がはじめて東慶寺を訪れたのは、大学生のとき。
亭主を務める予定であった茶事稽古に備え、東慶寺の朝茶事の末席に加えて頂いた日のことでした。
まだ夜が明けきらない時分に、東慶寺の急な階段を上がると、そこは別世界。
夜露に濡れてしっとりと美しい草木に囲まれる茶室で過ごした、しんと空気の澄んだひとときを忘れることはできません。
緊張しきりで、茶事の内容はさっぱり記憶にありませんが、薄茶の席から出ると、外はすっかり明るくなっていて、初夏の朝陽が眩しかったことを良く覚えています。
吉岡先生に初めてお目にかかったのも、その頃でした。
植物染料による、日本の伝統色の再現に取り組む、染司よしおか五代目当主でありながら、染織、美術工芸の分野を主領域とした出版社「紫紅社」を設立し、数々の専門書を世に送り出してこられた、吉岡先生。
そして、先代からの染織コレクションは、どれも貴重な品ぱかりですが、今回は、更紗、中でも「古渡更紗」を中心とした、収集品が見られるとのこと。
軽快な語り口でありながら、深く広い知識と経験から繰り出される吉岡先生のお話は、いつお聞きしても、強く強く惹き込まれます。ご予定の合う方は、26日の講演会もお見逃しなく。
2014年4月22日(火)〜6月8日(日)
9:30-15:30(月曜定休)
北鎌倉 松岡山 東慶寺
松岡宝蔵 入館料 500円(入山料別途)
★ 吉岡幸雄講演会
4月26日(土)13:30-15:00 要予約
お申し込みは、0467-33-5100 東慶寺まで